2026/9/9
Hi-Lightグラベル5モデル比較|G6からG0 Proまで、14万5000円〜54万円
グラベルバイクは、1ブランドにつき1モデルというのが一般的な構成である。用途が「舗装路も未舗装路も走る」という一点に集約されるため、モデルを細かく分ける必然性が薄いからだ。
しかしHi-Lightのグラベルラインナップは5モデルある。
G6 — 145,000円
G7.2 — 210,000円
G9.1 — 320,000円
G0 — 440,000円
G0 Pro — 540,000円
下位と上位で価格差はおよそ3.7倍。同じチタン、同じグラベルカテゴリーで、この差はどこから生まれているのか。
結論から言えば、5モデルを分けている軸は3つしかない。
ケーブルルーティングとダボ穴の仕様(G6 → G7.2)
3Dプリントの適用範囲とUDH対応(G7.2 → G9.1)
チタン材質・タイヤクリアランス・シートクランプの処理(G9.1 → G0 → G0 Pro)
以下、下位グレードから順に、何が加わることで価格が上がっていくのかを整理する。
動画では取扱店171WORKSのスタッフが実車を前に各モデルを解説している。この記事は、動画で語られた内容を数値と仕様の一覧に整理したものである。乗り味の話や実際に組んだ車体の話は動画側に収録されているため、両方を合わせて見ていただきたい。
Hi-Lightというメーカーについて
Hi-Lightはチタンフレームを専門に製造するメーカーである。溶接から3Dプリント部材の製造までを自社で行っており、ロードで7モデル、グラベルで5モデルという細かなラインナップを構成できるのは、この一貫生産体制によるところが大きい。
価格差は、素材のグレードだけでなく 「フレームのどの部分に、どの加工技術を使っているか」 によって生まれる。ストレートチューブを溶接するだけのモデルと、接合部を3Dプリント部材に置き換えて溶接痕を消したモデルでは、当然コストが違う。この構造はロードシリーズとまったく同じである。
なお、ロードシリーズにはR8系が存在するが、グラベルシリーズにG8は存在しない。現時点でのグラベルの型番はG6、G7.2、G9.1、G0、G0 Proの5つである。
G6|145,000円 — フルキャリア対応のエントリーグラベル

位置づけ
グラベルシリーズの最廉価モデル。フレームワークはロードのR6と共通で、ストレートチューブを溶接するオーソドックスな構成である。グラベルに対応させるため、タイヤクリアランスを確保する曲げ加工が入っている点だけがR6との違いで、価格差はわずか7,000円(R6は138,000円)。
仕様
タイヤクリアランス:45Cまで
サイズ展開:XS / S / M / L / XL の5サイズ
ケーブルルーティング:BB下から露出するタイプ
ダボ穴:フルキャリア用ダボを装備
UDH非対応
小柄なライダーへの対応
XSサイズの適応身長はおおむね160cm前後から。ただし700Cではなく 650Bホイールを組み合わせることで、155cm前後のライダーでも扱いやすいサイズに落とし込むことができる。ジオメトリー上の制約を、ホイール径の選択で回避するアプローチである。
45Cまで入るという意味
G6は「グラベル専用」というよりも、オールロードとしての運用範囲が広いモデルである。45Cまでのクリアランスがありながら、40C前後のセンタースリック寄りタイヤを履かせれば舗装路の巡航性能も確保できる。1台でカバーできる路面の幅が広い。
G7.2|210,000円 — 積載装備を前提にしたツーリンググラベル

G6との差分
価格差は65,000円。加算されているのは主に次の3点である。
ケーブルルーティングの変更 — G6のようにBB下からケーブルが露出しない仕様になる。【要確認:フル内装か、部分内装か】
フォークの仕様変更 — 片側3箇所のダボ穴(カーゴケージ用)を装備し、フルフェンダーにも対応する。ダボ穴の加工が入る分、フォーク単体のコストが上がる。
フレーム側のダボ穴追加 — トップチューブ上面、BB下(ダウンチューブ裏)にもダボ穴が追加される。フルキャリア用ダボはG6と共通で装備。
ロードのR7.3(198,000円)との価格差12,000円も、この曲げ加工とフォークのダボ穴加工の差によるものである。
仕様
タイヤクリアランス:45Cまで
フォーク:片側3ダボ、フルフェンダー対応
フレーム:トップチューブ上面ダボ/BB下ダボ/フルキャリア用ダボ
UDH非対応
想定される使い方
フォーク左右に7〜10Lクラスのバッグを装着すれば、それだけで14〜20Lの積載スペースが確保できる。片側にテント、片側に寝袋という配分でバランスを取り、リアキャリアを併用すればさらに積める。トップチューブ上面のダボには補給食やバッテリー類を収納するバッグを固定できる。
45Cまでのクリアランスがあるため、荷物を積んだ状態でも太めのタイヤに低めの空気圧を組み合わせ、乗り心地を確保できる。バイクパッキングによる長距離ツーリングを前提とするなら、このモデルが最も素直な選択になる。
G9.1|320,000円 — 3Dプリント導入とUDH対応の分岐点

3Dプリントが入る最初のグラベルモデル
G9.1は先代G9からモデルチェンジしたモデルで、グラベルシリーズで初めて3Dプリント部材が本格的に導入されるグレードである。
3Dプリント適用箇所:
ヘッドチューブ周辺 — トップチューブ・ダウンチューブとの接合部が溶接痕のない滑らかな面になる
リアトライアングル全体 — シートステー・チェーンステーの接合部、およびエンド部分まで
一見しただけでは接合部がどこにあるか判別しにくい仕上がりになる
UDHの採用
G9.1からUDH(Universal Derailleur Hanger)に対応する。 G6・G7.2はUDH非対応であるため、UDH規格のディレイラーを使いたい場合はG9.1以上を選ぶ必要がある。ここはグレード選択における明確な分岐点になる。
ジオメトリー
ホイールベース:最小サイズ1026mm 〜 最大サイズ1093mm
長めのホイールベースにより、直進安定性を重視した設計
先代G9からの性格変更
先代G9は 50Cまでのクリアランスとドロップしたチェーンステー を持ち、見た目からして本格グラベルという構成だった。
G9.1ではこれが変更され、タイヤクリアランスは45Cまで、エンデュランスロード寄りの設計 になっている。本格的なオフロード走破性よりも、長距離を走り続けるツーリング/耐久系の性格 に振られたモデルと理解するのが正しい。
その他の仕様
シートポスト径:31.6mm
ダボ穴:トップチューブ上面/BB下/フォーク片側3ダボ/フルフェンダー対応
G0|440,000円 — 6Al-4V採用のレーシンググラベル

素材が変わる
G0から チタン材が6Al-4V になる。加工難易度が上がるグレードのチタンであり、価格が一段跳ね上がる理由の一つがここにある。
仕上げ
3Dプリントを多用し、フレーム全体の接合部が滑らかに仕上げられている
シートクランプが外から見えないタイプ — R0・R0 Proと同じ処理
UDH対応
タイヤクリアランス:50Cまで
先代G9が担っていた「本格グラベル」の役割は、現行ラインナップではG0が引き受けている。50Cまでのクリアランスがあるため、林道クラスの未舗装路にも対応する。 一方で38C前後を履かせればオールロードとしても成立する。カバー範囲の広さは、上位モデルならではのものである。
性格
G0はレーシンググラベル寄りの設計である。UCI公認は取得していないが、市民レースやグラベルイベントでの使用には十分対応する。
注意点:シートポスト径30.9mm
G0のシートポスト径は30.9mmである。 31.6mmに比べて対応製品の選択肢が少ない規格であり、サードパーティ製シートポストを選ぶ際には確認が必要になる。
G0はG9.1よりも先にリリースされたモデルであり、後発のG9.1では31.6mmに変更されている。今後のモデルチェンジで見直される可能性はあるが、現行のG0を購入する場合は30.9mm対応品であることを前提にパーツを選定していただきたい。
G0 Pro|540,000円 — BB接合部の溶接痕をなくした最上位

G0との差分
BB周辺に溶接痕がない。 これがG0とG0 Proを分ける唯一にして最大の違いであり、価格差は100,000円である。
R0とR0 Proの関係とまったく同じ構造で、BB接合部を3Dプリント部材として一体成型し、溶接痕を残さない仕上げになる。
判断材料
BB周辺はクランクを装着すると視界から大きく隠れる部分である。実際に、G0を選ばれたユーザーからも「クランクを付けてしまえば同じ」という判断でG0を選択したという反応がある。
「フレーム単体としての完成度に予算を配分するか」 という価値判断がそのまま選択に直結するグレードである。走行性能上の差ではなく、仕上げに対する評価軸の問題として捉えていただきたい。
比較表
G6 | G7.2 | G9.1 | G0 | G0 Pro | |
|---|---|---|---|---|---|
フレームセット価格 | 145,000円 | 210,000円 | 320,000円 | 440,000円 | 540,000円 |
タイヤクリアランス | 45C | 45C | 45C | 50C | 50C |
3Dプリント | なし | なし | ヘッド周り/リア三角 | 多用 | 多用+BB接合部 |
BB接合部の溶接痕 | あり | あり | あり | あり | なし |
UDH | 非対応 | 非対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
シートクランプ | 通常 | 通常 | 通常 | 外から見えない処理 | 外から見えない処理 |
シートポスト径 | 【要確認】 | 【要確認】 | 31.6mm | 30.9mm | 30.9mm |
ケーブル処理 | BB下から露出 | 露出なし | 露出なし | 露出なし | 露出なし |
キャラクター | オールロード寄り | ツーリング/積載 | 耐久・長距離 | レーシンググラベル | レーシンググラベル |
記載の価格はフレームセット価格です。チタンフォーク、チタンシートポストなどはオプションとなり、別途費用がかかります。掲載写真の車体がオプション構成の場合、記載価格とは一致しません。
どのモデルを選ぶか
G6が向いている人
グラベルとオールロードの両方を1台でカバーしたい
初めてのチタンフレームとして、まず入り口を確保したい
155〜160cm前後の身長で、650B構成を含めて検討したい
BB下のケーブル露出が気にならない
G7.2が向いている人
バイクパッキングでの長距離ツーリング/キャンプツーリングが主目的
フォークダボ・トップチューブダボを含めた積載能力を重視する
フルフェンダーを装着して通年運用したい
ケーブルがBB下から出るのは避けたい
G9.1が向いている人
UDH規格のディレイラーを使いたい
3Dプリントによる滑らかな接合部の仕上がりに価値を感じる
未舗装路の走破性より、長距離を走り続ける安定性を優先する
積載能力と仕上げの美しさを両立させたい
G0が向いている人
50Cを履かせて林道クラスの未舗装路に入りたい
市民レース・グラベルイベントでの使用を想定している
6Al-4Vチタンとシートクランプ非可視の仕上げを求める
タイヤ交換でレース用途とオールロード用途を使い分けたい
G0 Proが向いている人
BB周辺を含め、フレーム全体で溶接痕のない仕上がりを求める
「完成された1本」としての所有価値を優先する
オプション:チタンシートポストという選択
G0・G0 Proを選ぶ場合、Hi-Light純正のチタンシートポスト(30.9mm)を強く推奨したい。
G0系はシートクランプが外から見えない処理になっている。そこに、フレームと同一のチタン材・同一の表面加工で仕上げられた純正シートポストを組み合わせると、フレームとシートポストの境目がほとんど視認できなくなる。 実際には分離した構造でありながら、インテグレーテッドシートポストのような見え方になる。
ただし、チタン同士の組み合わせは 固着への配慮が必要 である。グリスを確実に塗布し、定期的に抜き差しして状態を確認するメンテナンスを前提としていただきたい。固着を避けたい場合はカーボンシートポストという選択も当然成立する。
また、オフセットの都合で純正シートポストが使えないケースもある。30.9mm規格は31.6mmに比べて選択肢が限られるため、ポジションの要件が明確な方は、購入前に対応製品の有無をご確認いただきたい。
完成車価格シミュレーターについて
フレームセットからの完成車構成と概算価格は、完成車価格シミュレーターでご確認いただけます。
なお、G6・G7クラスについては完成車としての企画を進行中です。詳細が決定次第、本サイトで告知します。
購入について
納期:海外輸入品のため、通常3〜4週間程度をいただいております。
繁忙期・工場休業:春節など工場の長期休暇期間中は納期が延びます。あらかじめご了承ください。
在庫:ご注文後に在庫切れが判明した場合は、全額返金にて対応いたします。
サイズ選定:ジオメトリー表をご確認のうえ、判断に迷われる場合は取扱店までご相談ください。
試乗・取扱店について
Hi-Lightのグラベルモデルは、埼玉県さいたま市大宮の 171WORKS にて試乗車をご用意しています。現在はG6の試乗車を常設しており、順次拡充予定です。
また、Hi-Lightでは取扱店を募集しています。チタンフレームの取り扱いにご関心のある販売店様は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
シリーズ記事
前編:Hi-Lightロードシリーズ解説|R8CからR0 Proまでの違い 【リンク先URL要差し替え】
次回:Hi-Lightカタログ解説 マウンテン編(予定)